マルチスキル化とは
マルチスキル化とは1人の従業員が複数の業務を担えるよう教育を施し、特定の従業員にしかできない業務をなくすことです。 コールセンターでは「マルチ」「マルチタスク」「シェアード」とも言い換えることができ、近年企業の生産性を高めるのを目的としてマルチスキル化が推進されるようになってきたと言えるでしょう。
マルチスキル化の目的
マルチスキル化の主な目的は、従業員が複数業務の知識を身につけ、状況に応じて多様な業務に対応できる人材を育成することです。多能工はもともと、製造業の工場や施工の現場ではじまりました。技術・技能職の人が複数のスキルを身につけることで、作業の効率化と生産性の向上をはかっていたのです。今ではサービス業や事務職など、幅広い業種において業務を合理化する方法として推進されています。
コールセンターにおける専任とマルチスキル化の違い
コールセンターのオペレーター配置には2種類あり、「専任」と「マルチ」に分かれます。
専任とは
その案件「専任」のオペレーターを配置する方法。
専任オペレーターは、他の案件との掛け持ちではなく、1つの案件のみ受け持つため、常時、契約回線数分のお客様対応が可能です。
マルチとは
オペレーターを他社案件とシェアするイメージで、複数の案件をオペレーターが「兼任」する方法です。
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コールセンターにおけるマルチスキル化のメリット
コールセンターにおけるマルチスキル化のメリットは次の4つです。
業務のリスクを管理して安定化させる
それぞれが自身の担当分野の作業のみを行なう体制では、別業務をフォローすることができません。しかし、マルチスキル化によって欠勤が出た時や入電が多い日などはカバーし合えるため、万が一の際のリスクを抑えることができます。マルチスキル化によって変化に強く、柔軟性の高い組織を作る大きな改革になるでしょう。
オペレーターのアイドルタイムをなくす
業務によって、繁忙期や閑散期があるのがコールセンターの特徴です。特定の業務だけを担当させると、オペレーターの待機時間が増えます。人件費の無駄となり、オペレーターのモチベーションも低下傾向がみられ、生産性が悪くなると言えます。マルチスキル化することにより業務の安定化と効率化を実現しつつ企業と従業員の双方にとってメリットと言えるでしょう。
組織のチームワークが強化される
マルチスキル化することにより、様々な業務を経験して相互理解が深まるため、チームワークの強化が期待できます。共通の話題も増えて社内のコミュニケーションも増加することでしょう。従業員の視点が揃い、繁忙期や困った時に支え合える信頼関係を築くことができれば、社内の一体感も高まり、社内の雰囲気も良くなるはずです。
ワークライフバランスの実現に繋がる
マルチスキル化により従業員の労働時間の偏りを調整・平準化することは、労働時間の抑制や休暇の取得率向上にもつながります。仕事と私生活の両立など、柔軟な働き方を求める人が増えている現代において労働環境の見直しは欠かせません。ワークライフバランスの実現を推進するうえでも、多能工化は効果的な手段のひとつと言えます。
コールセンターにおけるマルチスキル化のデメリット
育成に時間がかかる
定着までに時間がかかる点がデメリット。マルチスキル化には人材の育成が不可欠です。導入の際は育成にかかる時間をきちんと考慮して、計画的に研修プランを練っておくことが重要です。業務に支障をきたすことがないよう、従業員のスキルにあわせて無理のないペースで進めることがポイントになります。
従業員のモチベーションが低下する可能性がある
マルチスキル化は、すべての従業員にとって良いことになるとは言えません。入社後に業務が次々と増える場合、想定していなかった業務を任されることになるため「入社時に聞いていた仕事内容と違う」「望んでいるキャリアと異なる」といった不安や不満を抱く従業員もいます。
適正な人事評価制度が必要となる
マルチスキル化する際には、それに即した適正な人事評価制度を同時に整備する必要があります。 従業員が多方面で高いパフォーマンスを発揮しているのに、それが評価に繋がらないようでは、かえってモチベーションの低下を招き、時間をかけて育成した多能工が早期離職してしまうといった事態も引き起こしかねません。 従業員が所属する部署や、従事する業務に関わらず、適切に評価ができる人事評価制度の整備を模索することが重要です。
コールセンターでマルチスキル化を成功させるポイント
必要な業務の洗い出しを行う
現状行っている業務の業務量やスキルを調査します。どの業務とどの従業員をマルチスキル化するのか決めていくのが望ましいでしょう。 スポットで人員が不足してしまう業務、アイドルタイムの多い業務などで多能工化を検討すると、効率化を図ることができます。 また従業員としっかりとコミュニケーションを取り、マルチスキル化の方向性や必要性について理解を得ることも重要です。
育成計画を作成する
マニュアル作成後はマルチスキル化する従業員に対して行う育成計画を立案します。 立案する際は「いつ」「誰が」「誰に」「何を」「どのように」育成を行うのかを明確にすることが大切です。 計画を実行する際には従業員とコミュニケーションを取りながら進めていくのはもちろんのこと、体調やモチベーションに配慮し、仕事と同時進行することで無理を強いることのないように行うことが重要だと言えるでしょう。
従業員が会社に定着するよう心掛ける
時間と手間をかけて育成した従業員が、長期間自社で働いてくれるようさまざまな工夫をすることも非常に大きなポイントとなります。
従業員を定着させるために工夫できることとしては、「上司とのコミュニケーションを密にとること」「社内環境の整備」「目標管理制度の導入」など、いろいろなもの挙げられます。複数の業務に精通している従業員は将来のリーダー候補としても欠かせない人材となるので、大切に扱うようにしなければなりません。
まとめ
今回は、コールセンターのマルチスキル化についてご紹介しました。
マルチスキル化をすることで、従業員の業務負荷を平準化できるなど、多くのメリットが得られます。しかし人材を育てるためには時間が必要で、うまく実現できるものではありません。さらに、各従業員のモチベーションに依存する側面も大きく、従業員の目標と企業の目標が一致していないと、実現が難しくなります。
専任とマルチスキル化が出来る業務をしっかり見分けて、生産性やチームワークの向上を実現してください。
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