2021年4月から高年齢者雇用安定法の一部改正により従業員が70歳まで働けるように企業に努力義務を課す法改正が行われた。
この改正法は、【歳就業法】や【歳就労確保法】等とも呼ばれ、具体的には以下のような措置を講じるように求められ、企業はこれまで以上にシニア社員の活躍に対して本腰を入れることが求められている。
- 70歳までの定年引き上げ
- 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
- 定年の廃止
- 70歳まで継続的に業務委託契約する制度
- 70歳まで継続的に社会貢献活動に従事できる制度の導入
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見えてくる課題
全国の60歳以上の男女に現在の就業状況を聞いたところ「収入のある仕事をしている」方が4割近くいることがわかっており、実際の企業側の対応として最も多いのは「定年後の再雇用」である。
しかし実際、定年後に再雇用されたシニア社員はどのような働き方をしているのか調べてみると、再雇用前と比べて業務内容は同じままで収入が低下する傾向がうかがえる。こういった状況で高いモチベーションの維持やパフォーマンスを発揮し続けることは難しいだろう。
一方で企業側としてシニア社員の仕事ぶりについてどう評価しているのだろうか。
専門性の発揮や、取引先・人脈の伝承、後進育成についてシニア社員に期待するところだろう。しかし、その期待に応えているシニア社員は3割ほどで、課題として、新たな仕事に対してチャレンジする姿勢や自身へのキャリア構築といった部分で期待に応えていると評価する企業はまだ少ない。
これからの働き方
シニア社員に限ったことではないが、目まぐるしく変化していく世の中で様々な変化を恐れず適応していく力が重要になってくる。
その「変化適応力」はシニア社員に必要不可欠だろう。変化適応力の高さは、目の前の仕事でパフォーマンスを発揮するだけでなく、積極的に自己研鑽を続け、必要があれば新たなスキルや知識が必要な職域に転向する積極性もあるという状態と捉えることができる。
このような状態であれば、ビジネスでの変化により、そのままの会社に留まるより他社へ転職したほうが力を十分に発揮できそうな場合は、新たな道へと試みても採用される可能性が見えてくるだろう。
会社内での適切な人材配置
社員の変化適応力が高い企業は、社内公募・希望部署に自分を売り込む社内FA制度・社内副業などの、社内でのジョブマッチング制度が充実している。
活用する社員も何が自分に適しているのかを試せる機会が多い。また、異動・転勤が積極的に行われており、社員自らの意思が反映されやすい異動・転勤が活発に行われる環境を整備することが重要で、社内での制度がいくら充実していても、それらが活用されず異動・転勤が少ない会社では、社員の変化適応力は相対的に低い。
まとめ
少子高齢化により生産年齢人口の減少によって起こりうる様々な社会問題を解決していくには、シニア社員の活躍が欠かせないものとなる。迫る人材不足に危機感を抱きシニア世代の活用に取り組みはじめた企業と、コスト要因ととらえて対策を行っていない企業では、10年後には大きく状況が異なっているだろう。
その結果、自社のシニア社員が競合他社で採用され手放すことになってしまったり、外部からの採用が難しくなっている可能性もあるだろう。
シニア社員が活躍する職場では若年社員も高いパフォーマンスを発揮し、離職率が低いなど会社全体に及ぼすポジティブな影響が大きいこともわかっている。企業はできるだけ早急な人材活用戦略を立て、年齢にとらわれず、シニア社員が活躍できる環境と、給与面を含めた誰もが納得できる働き方の実現に取り組む必要がある。