まず初めに衛生委員会とは、労働災害を未然に防ぐ為に一定の基準を超える企業に設置が義務付けられている内部の機関です。一定の水準とは、常時使用する従業員が50名以上の全事業者です。対象従業員とはアルバイトやパートは勿論、人材派遣事業者は派遣元で雇用している派遣労働者も含みます。
目的
設置する目的としては「労働者の意見を反映しながら、労働者が危険や健康被害を防止対策する為」とされており、労使が一体となり従業員の危険や健康被害を防止し労働災害を防ぐ為に従業員自らが現場の状況を伝えて改善を求めて議論を行う場です。毎月1回以上の衛生委員会の開催が必要とされています。
構成員
衛生委員会の構成は、統括安全衛生管理者(人事部や総務部の部署長)衛生管理者(衛生管理者の資格を有している社員)産業医、衛生に関する業務経験を有している社員1名以上。衛生管理者と産業医は労働基準監督署へ選任報告が必要ですので注意してください。なお、構成する人数に規定はありません。議長以外のメンバーは事業者が指定しますが、会社にとって都合が良い委員を選出する事は禁止されています。
進め方、開催に関して
では、衛生委員会を開催して具体的に何をするのかというと、長時間労働の有無や、労災が発生したかどうか社員の健康に関する事を報告し状況の把握を行います。その際、実際に産業医と一緒に職場内の見回りを行い安全衛生上の問題提議と改善を行います。例えば地震などの災害が起こった際の危険性を考えて棚が固定されているか、棚の上に荷物を置いていないか、転倒などの労働災害が起こる危険性を考えて社員の動線上に配線がないかなど。
また、通年を通して審議する必要がある内容を挙げて議論を行います。具体的な内容としては生活習慣病、ハラスメント対策、定期健康診断、ストレスチェック、長時間労働など。5月の開催は5月病の対策としてメンタルヘルスの方法についてや、11月の開催は感染病対策や、路面凍結による事故防止についてといった風に、時期やトレンドに沿った内容を議題に挙げる事も望ましいとされています。上記以外にも自社ならではのテーマがある場合も議題として挙げる事で、常に課題に対して取り組むことができますので非常に有意義な場となります。 最後に次回の議題検討があります。後述しますが衛生委員会の議題や開催に関しては年間計画で定めておく方が良いでしょう。しかし社内の状況により次回取り上げる議題が変わる場合もありますので、委員全員に確認を取り、臨機応変に進めていきましょう。
議題内容については議事録を作成し、従業員に周知することが義務付けられています。周知の方法は社内掲示板や書面での通知、社内報への掲載が主とされていますが方法は特に規定はありませんので、遅滞なく周知できる方法を取りましょう。各種規定の作成も必要で「衛生委員会規定」「衛生管理規定」「健康情報取扱規定」の3つの規定を作成して保存する必要があります。衛生委員会を設立した後は3か月以内に作成しましょう。
衛生委員会議事録は3年間の保管義務があり、保管の際には産業医の署名捺印が必要です。労働基準監督署の立ち入り検査が入った際に議事録等で衛生委員会の設置、開催が確認される為、保管義務期間内は厳重に保管しましょう。
有用的な場にするために
衛生委員会を活性化する為に全ての委員が発言できる環境を整えることが重要です。また、年間計画を策定する事により定期健康診断やストレスチェックを軸に開催を考えられますので時間を有効的に活用でき、衛生委員会で中心的な役割を担う産業医とのスケジュールも明確化する事でより一層有意義な場となります。
従業員が健康に安全に従事できる環境にしていく為に衛生委員会を通して、起こりうる課題に対して理解を深め解決していく事でより良い職場環境を目指していきましょう。